不動産M&A購入の流れ

経営者の高齢化などの理由により、近年は中小企業においても事業承継を目的としたM&Aの成約件数が増加しています。本ページでは、その中でも不動産の取得を主な目的とした「不動産M&A」に特化して、どのような順序で行われているのかをご紹介致します。

STEP1

不動産取得の目的と
ゴールを設定する

不動産M&Aをしたいと言っても、その目的は人それぞれ異なります。仮に資産拡大が目的の場合は、いつまでに、どのくらいの規模(もしくはキャッシュフロー)が必要になるのかというゴール(最終目標)も、考えなければなりません。

STEP2

現状を把握する

通常の不動産売買において不動産を購入する方のほとんどは、金融機関から借入をして購入するかと思いますが、不動産M&Aも例外ではありません。「現状」とは、自分が不動産取得にあたり拠出できる自己資金や、組めるローンの限度額(与信枠)などを指します。まずは、目的とゴール、そして現状を把握できれば、おのずとどのような不動産を保有した会社を購入すべきなのかが見えてくるはずです。当社では不動産M&Aに特化したスキームについて、お客様に合わせたご提案が可能です。気になる方は、まずは下記よりご相談ください。

STEP3

情報を収集する

目的と買収ニーズがわかった段階で、情報収集を開始します。ご自身でポータルサイトを見たり、M&A会社を訪ねても良いかもしれません。

STEP4

企業概要書
(ノンネームシート)を
確認する

気になる案件が出てきたら、まずはノンネームシートと呼ばれる企業概要書で簡易的な情報を確認します。これは不動産売買で言うところの概要書に当たります。

STEP5

仲介会社と秘密保持契約・
アドバイザリー契約を結ぶ

希望に合う案件が見つかったら、仲介会社と秘密保持契約及びアドバイザリー業務委託契約を締結します。

秘密保持契約とは、自社がM&Aの検討・交渉を行っている情報を漏洩させない約束をする契約です。M&Aの情報はメリットをもたらす場合もありますが、特に売る側にはデメリットが大きくなります。

例えば、適切な時期にM&Aの情報が公開できなかった場合、自社の経営状態が悪いと考える従業員に退職される可能性があります。また、売却の情報が取引先や株価に悪影響を及ぼすこともあります。最終的にはM&Aを行っても想定よりも売却益が少なくなる結果になります。したがって、M&Aを検討している・交渉を行っているという情報は慎重に扱う必要があり、情報漏洩を防ぐためにM&A専門家や仲介会社と秘密保持契約を締結します。

アドバイザリー契約とは、M&Aを進めていくにあたり「必要な業務・進行のサポートを仲介会社に一任しますよ」という契約です。これは、通常の不動産取引で言うところの媒介契約と同じような内容です。また、実際にM&Aが成功した際の仲介手数料についても、アドバイザリー業務委託契約で明記します。ここで注意しなければならないのは、通常の不動産売買は、売買契約が成立、もしくは売買が完了した時点で手数料を支払う、いわゆる完全成果報酬型ですが、M&Aの場合は必ずしもそうではないという点です。どのタイミングで仲介手数料支払い義務が発生するかは、各仲介会社によって異なりますが、場合によっては成功するか否かに関わらず、案件に関する詳細資料を開示してもらっただけで手数料(着手金)が発生する場合もあります。

上記の通り、不動産M&Aは通常の不動産取引とは異なる流れになっており、不動産M&Aが未経験の方は、少し困惑されるかもしれません。しかし、当社の場合は、不動産M&Aをなるべく通常の不動産売買に近い形でスキームを組み立てましたので、株式譲渡契約を締結した時点で手数料を頂戴する、完全成果報酬型を採用しておりますので、ご安心ください。

STEP6

詳細資料を確認する

仲介会社と秘密保持契約・アドバイザリー契約の締結が完了したら、詳細資料を確認し、希望に見合う案件かどうか具体的に検討します。

STEP7

トップ面談を行う

トップ面談とは、M&Aを行う企業の経営者同士がM&Aについて面談を行うことです。M&Aでは、企業の将来を左右する大きな判断をすることになりますので、慎重に検討、判断します。

STEP8

意向表明書を提出する

意向表明書とは、その名の通り、具体的な取引価格や詳細条件を売り手に表明する書類です。通常の不動産取引で言うところの買付申込書です。意向表明書の提出は義務付けられているものではありませんが、買い手は前向きに買収を検討していることを売り手に伝えることができるので、後々の交渉もスムーズに進めやすくなります。

STEP9

基本合意書を結ぶ

基本合意では、M&Aスキームの確認、取引価格の確認、デューデリジェンスの協力、独占交渉権の確認などを行います。基本合意は書面で行われることが多く、契約書ではありますが、この後行われるデューデリジェンスによって最終的な取引価格やM&Aを行うかどうかについて判断がなされるため、基本合意書に記載されている内容のほとんどに法的拘束力はありません。

STEP10

デューデリジェンスを
実施する

デューデリジェンスとは、企業監査のことを指し、買い手側は売り手側企業を買収しても問題がないかどうかを確認するため、財務面や法務面などの専門家に調査を依頼します。買収や合併など包括承継の場合、対象とする企業のすべての権利・義務を引き継ぐことになります。つまり、簿外債務なども引き継いでしまうため、その問題が大きすぎると承継後に経営困難に陥る可能性もあります。

このようなリスクを回避するためにも、買い手側はデューデリジェンスを徹底的に行います。デューデリジェンスには財務デューデリジェンスや法務デューデリジェンスなど、さまざまな企業監査があります。対象会社の規模により、どこまでデューデリジェンスを行うべきなのかも含めて考えましょう。

STEP11

チェンジオブコントロール条項を確認、
取引継続可能か事前に交渉する

チェンジオブコントロール条項とは、会社分割や株式譲渡といったM&Aなどによって経営権(支配権)が移転した際に、契約内容に何らかの制限がかかるとする条項のことです。例えば、経営権が移転したときに通知義務が発生するといった条項のほか、契約そのものを破棄できるなどの条項もあります。チェンジオブコントロール条項の大まかな仕組みについて、簡単な例でご説明します。例えば、A社の取引先にB社があるとします。A社とB社は契約関係にありますが、この契約の中にチェンジオブコントロール条項があったとします。すると、もしA社の経営権がM&Aなどによって移転したとき、B社との契約内容に何らかの制限がかかることになります。
チェンジオブコントロール条項には、契約そのものを破棄できるといった条項もあります。この場合、A社の経営権がM&Aなどによって他社へ移転すれば取引先のB社は、A社との契約を解除できるということになります。

このような定めを設けた条項が、チェンジオブコントロール条項です。不動産M&Aでチェンジオブコントール条項が設定されている可能性が高い注意すべき契約は、対象不動産に抵当権を設定している債権者と対象企業との間で締結された金銭消費貸借契約です。対象企業がどこからの借入もせずに対象不動産を保有している場合には当てはまりませんが、多くの場合は金融機関から借入をして不動産を取得、保有しています。抵当権設定している金融機関からすれば、代表者が変われば、当然返済能力も変わる為、金銭消費貸借契約を継続するかどうか、慎重に審査し直す必要があります。M&Aには成功したけど、金融機関とのチェンジオブコントロール条項に抵触し、一括返済を求められた、ということが無いよう、事前に相談しておきましょう。

当社では、数多くの不動産取引経験がある為、全国の金融機関と繋がりがありますので、金融機関との調整、交渉には自信があります。仮に既存金融機関から代表者変更についてNGが出たとしても、別の金融機関から改めて借入をすれば良いですから、その際はぜひご相談ください。

STEP12

最終契約を結ぶ

最終契約書は基本合意書と異なり、法的拘束力を持ちます。つまり、締結すると契約内容を変えられないので、最終条件の交渉は慎重に行わなければなりません。

STEP13

クロージングを行う

クロージングとは、最終契約書の内容をもとにヒトやモノ、カネを移動させることを指します。つまり、株式譲渡や事業譲渡などの取引が行われる際に、最終契約書の内容に基づき、M&Aの対象となっている企業あるいは事業の経営に関する経営権の移転と取得対価の支払いを完了させるための手続きです。クロージングが実行されることで、手続き上のM&Aフローは完了します。当社では完全成果報酬型を採用しておりますので、仲介手数料についてはこの段階で頂戴しております。

以上が不動産M&Aの主な流れです。不動産M&Aでは、通常の不動産取引よりも調査すべきポイントが多い為、その分時間がかかります。短くても6ヶ月、長ければ1年以上かかるケースもございますので、予め余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。不動産M&Aにご興味がある方は、ぜひ当社へお問い合わせください。